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ラグナロク


by arepuri

彼女のカレラ


立て続けに漫画記事2本目

今日の漫画は麻宮騎亜の『彼女のカレラ』です。既巻4巻。週間プレイボーイにて隔週にて連載中。
作者の名前はもともと知っていましたが、この作品は知らなくて本屋でたまたま「へーこんなのも書いているんだ」と手に取って立ち読みし次の日既巻全巻購入しました。
麻宮騎亜といったら、漫画版ナデシコ、怪傑蒸気探偵団、サイレントメビウス、コンパイラなどが代表作。漫画化デビュー前はアニメーターであったらしく(名義は異なる)、風の谷のナウシカやルパン三世part3の動画、北斗の拳(!)や機動戦士Zガンダムの原画などをしていたそうです。詳しくは(麻宮騎亜wikipedia)を参照。

そして作品のほうですが、タイトルの『カレラ』は『彼ら』ではなくポルシェ911(964)カレラRSのことで、主人公の轟麗菜(青年誌の編集者。巨乳天然)が父親の形見として受け取ったカレラRSと四苦八苦しながら付き合っていくというお話。
第一巻の冒頭では麗菜の運転するカレラRSがエスティマに煽られるというシーンから始まります。MTのカレラRSを相続した当初麗菜の運転免許はAT限定で運転は苦手。車の知識も乏しく前途多難。カレラRSも新しい車ではなくいろいろな不便さがあります(エアコンパワステパワーウインドウ無し)。当初は父の残した車だからと、なかば義務感で乗ります。その不便さに愚痴をこぼしたりもします。
しかし、様々なアクシデントやトラブルを乗り越えカレラRSを通して様々な人と出会ううちに、麗菜の中には義務感だけではない麗菜自身の愛着と愛情が生まれてゆきます。
実は、表紙折り返しの作者コメントにて作者自身もカレラRSオーナであることが明かされています。麗菜をとおして作者のカレラRSへの愛情が感じられます。麗菜の遭遇したトラブルのうちいくつかは、作者自身の体験もあるのでしょう。

同じようにスーパーカーを扱った漫画にはYJで連載中の梅沢春人の『カウンタック』があります。こちらは題名のとおり、主人公(空山舜)の車はカウンタックで、奇特な金持ちから破格の250万円で譲り受けたものです。
扱っている題材は似通っていて、どちらも作者のその車への愛情にあふれた作品ですがその雰囲気はだいぶ異なります。空山舜は元走り屋で、運転技術はもちろん知識も(たまにど忘れしますが)豊富です。走りの性能などに重点がいっていて、各話も公道対決や最高速チャレンジなどがメイン。
それに対して、『彼女のカレラ』では前述のとおり麗菜は運転はだいぶ下手で知識も欠如気味。ときどき因縁をつけられて対決に話が行くこともありますが、もっぱら普段の生活の中でのカレラRSや(勝負事ではない)ツーリングなどを描いています。

作中メインの車はカレラRSで、(このモデルの当時の正確な値段はわかりませんが)新車で1千万円以上する車種で、なかなか身近なものではありません。しかし、百人いれば百通りの車の愛し方があり、それぞれの愛する車があり、主人公(≒作者)にとってはそれがカレラRSだったというだけのことです。



私自身はまだペーパードライバーですが、私がいつかほしい車、乗ってみたい車はマツダのRX-8(RX-7も捨てがたいですが)です。ポルシェと比べればまだだいぶお求めやすい値段ですが、学生の身にはまだまだ高嶺の花です。作中の車種は違いますが(そもそも車を持っていませんが)、車の愛しかたを教えられた気がします。

彼女のカレラは、そんな作品です。
by arepuri | 2007-03-04 02:59 | 漫画談義(略して漫談)